赤坂サカス文楽・7「生まれて初めて」
通常の演目とは
違って、
特に筋立ても無く
淡々と進む
この「翁」。

しかしその
完全コピー版(?)
とも言うべき
「寿式三番叟」を
度々上演する
我々文楽の
人間にとっては、
「翁」はとっても
親しみ深い物。

詞章が同じ。
(完コピですから)
囃子も同じ。
(完コピですから)
だから
とっても
分かりやすい。

普段お休みと言えば
家の中で
ホケホケ、
グータラタラ、
他ジャンルのお芝居
を見て勉強する
という気も無い
無精者の私にとって、
お能とこんな
身近に接するのは、
生まれて初めて。

出を待つ間
舞台袖から拝見して、
思わず唸りました。

始めに舞う
千歳は、
嫋やかな文楽よりも
気迫に満ちた
激しい動き。

舞い終えて
平伏すると
終演まで
微動だにせず。
その形の美しい事。

続く翁の足取りは
確かに老人の
それでありながら
そこはかとなく
色気が漂い、
大地を踏みしめた
その立ち姿には
何とも言えない
重量感が。

広袖や
中啓の扱いには
隅々にまで細やかな
神経が行き届き、
舞台の四方を廻る
緩急自在の歩みにも
水の上を行くが如く
腰の高さがぶれる事は
全くありません。

足拍子の微妙な強弱、
面を付けているとは
とても思えない、
朗々とした声の
響きとその声量。

そしてそれらを支える
静かな、しかし
烈々たる内に秘めた
エネルギー。
文楽、歌舞伎、舞踊、
そして音曲の司
とも呼ばれる
義太夫節にとっても、
能楽は
兄であり
父である。

本行(ほんぎょう)と
言われるその意味が
ようやく少し
分かった気が
しました。

豊松清十郎

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[2015/04/02 20:20] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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