今回は、こんな御質問を戴きました。(Q&A・その2)
文楽教室、
そして若手会も終わり、
しばらくお休みが続きます。
折角なので、梅雨の晴れ間に嫁さんと、
京都を楽しんできました。

二人とも関東の人間なので、
京都と聞いただけで、テンションが上がります。
毎日でも、行けない事は無い、距離にいるのに、
近くにいると、
却ってなかなか行かない物。
何がお目当て、という事は無かったのですが、
歩いているだけで、癒される街並み。
素敵なお店も、いくつか発見して、
大収穫の、ぶらり旅になりました。

さて、このブログも、立ち上げからもう五ヶ月。
たくさんの方にお読みいただき、
心から、篤く御礼申し上げます。

四月の終わりに、少しまとめてお答えした、
皆さまからのお声。
今回は、こんな御質問を戴きました。

「こんにちは、清十郎さん。
松右衛門内の段、嵐のような展開に、ドキドキいたしました。
設計図のお話ですが、
もし、語られる大夫さんと、設計図が違ったら、
どうなるのでしょうか。
また、公演の最初と最後で、自分の遣う役の、
性根が変わる事は、あるのでしょうか」

有難う御座います。
素晴らしい御質問です。
早速お答えします。

先ず、人形遣いにとって、
浄瑠璃は絶対ですので、
基本的に、稽古までに、どんな思い、設計図を持っていたとしても、
それが語りに合わなければ、
あっさり(か、しぶしぶ)変えます。

簑助師匠でさえ、その時々の語りによって、
様々に人形の振りを変えられます。
たとえ、若い大夫さんが語っても、です。

もっとも、普通は細かく大夫さんに、
「ここのこのセリフは、どんな思いで語ったはりますか?
ここの、このお筆は、悲しみでしょうか、怒りでしょうか?」
などと伺う事はありません。
ですから、
自分の設計図と語りが
「明らかに違う!」
という事の無い限りは、取り敢えず、
自分の解釈で遣っています。

二つ目の御質問。
あります。
何だか自分が、すごく適当に舞台に出ているようで、
お恥ずかしいのですが、
よく(!)あります。

これは先述のように、
浄瑠璃を聞いているうちに、
違和感が出てきて、変えることもありますし、
公演中に、何か新たに勉強する、
という事もあります。

「酒屋」の端場の、三勝を遣っている時でした。
ここの三勝は、
愛しいわが子、お通と別れねばならない、
その悲しみを、表現する事しか、考えていませんでした。
しかし公演途中で、
その時、端場を語られた、英兄さんが、
お客様に話された言葉が、耳に飛び込んできました。

「ここの三勝、まず酒屋に来ると、
“ああ、ここが、半七さんが育った家”
おばあさんに会うと、
“ああ、この人が半七さんを育ててくれた、お母さま。
私は、絶対に御挨拶できないけれど、
お通を宜しくお頼申します”
と、そんな気持ちで語ってますねん。」

目からうろこでした。
それを聞いてからは、同じく辺り見回すのでも、
思いが全く変わりました。

三勝にとっては、この酒屋に足を踏み入れるのは、
これが、最初で最後。
永の別れとなる、お通は勿論の事、
その他、全ての物が、半七さんにつながる。
目に焼き付けておかなくては。
ただ、身を潜めているだけではない。
「もしかしたら、三勝はこの時、
とても幸せだったのかも」
などと、新たな思いも生まれて来ます。

この思いを、どう表現するか。
その日から、楽日までの、楽しかった事。
まあ、私の演技力では、特別に何の違いも、
感じては戴けなかったかも、知れませんが。
そんな風で、設計図、良く書き換えております。

という訳で、
Q&Aコーナー(?)
でした。

四月にも書きましたが、管理人のtsubameさんを通じて、
皆さまの声は、全て私のもとに届いております。
御意見、御質問、お叱りなど、
どんどん
お送りください。
本文左側の、メールフォームという所に、
お名前とアドレスをお書き頂くと、届くそうです。
また、このブログの中で、お答えして参ります。
どうぞ、お気軽に。

豊松清十郎

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[2010/06/28 19:40] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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