相生座雑感・その2「相生座では、口上も、勤めました。」
相生座では、口上も、勤めました。
出番は、吉田屋の端場と切場。
この口上、普通に考えれば、
声を出すのはお手の物の、
若い太夫さんが、やれば良さそうなのに、
何故か、
人形遣いの仕事になっています。
語る前に、あまりいい声を出されると、
やりにくいからでしょうか。

芝の中に立つ相生座
↑芝の中に立つ相生座:これこそ本当の芝居です。

口上役は、特に任命されるわけでもなく、
小割りを決める人(現在本公演は、勘十郎、玉女のお二方)が、
割り振ります。
特に、カラオケの上手い下手は、関係ないようです。
私が勤めていたのは、十年以上も前の事。
でも久し振りに声を出して、
なかなか、気持ちの良いものでした。

回り舞台の板
↑回り舞台の板:放射状に貼るのは、初めて見ました。

誰に教わる物でも無いので、
全て先輩方の、口真似です。
床と同じく、端場はさらっと言いますし、
切場になれば、
師匠方の名前が、お客様の拍手に消されないように、
太夫、三味線と、お一人ずつたっぷり間を空けて。
声も、歌舞伎の口上のように、張り上げた良い声を、
出すものではないと思います。
目立たず、しかしお芝居の雰囲気を壊さずに、
気持ちよく太夫さんが、語り出せたら、
それが理想です。

ひのき舞台?
↑杉舞台:元々芝居小屋では、杉や松を使うことが多く、一流の小屋だけが檜を使った所から晴れの場所を意味する「檜舞台」という言葉が生まれたとか。

こう書くと、大変な口伝のようですが、
誰から言われた訳でも無し、
勝手にそう思っているだけなんですが。

口上と言えば、
昔、兵次(ひょうじ)さんという、
大名人がおりました。
若い頃は、人形も遣われたそうですが、
私が入門した昭和40年代には、口上専門。
八十歳を越えながら、
まだ現役で、活躍されていました。

この方の口上が絶品。
朗々とした、素晴らしい声ながら、
けして目立つ訳ではない。
兵次さんの存在が、口上になっていました。
あの口上を聞かれたお客様は、
きっと今よりずっと、豊かな気持ちで、
お芝居に入っていけたのでは、ないでしょうか。
この先、古い上演記録の上映会などがあれば、
是非注目なさって下さい。

豊松清十郎

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[2010/06/04 20:08] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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