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五月公演は久し振りの二役遣います。その2「文吾兄さんの姿を胸に励みます」
昔は踊り物と言うと、
振付の師匠のお稽古がありましたが、
近頃は、ビデオと言う便利な物があるので、
そちらでお手軽に済ませて、
稽古の機会も随分減りました。

しかし、人形は完全に人間の動きは出来ませんから、
どうしても、元の振付をアレンジする所が、出てきます。
そこをAさんが少し変え、
そのビデオを見たBさんが更に変えると、
暫くしたら伝言ゲームのように、
元の形は跡形も無くなる、
と言う事も、十分に考えられます。

そしてもう一つは、振りの意味です。
二月の海女もそうでしたが、
どうしてここで振り向くのか、
なぜここで空を見上げているのか、
等の事は、どんなにビデオ眺めていても、分かりません。

そこをきちんとする為、一度リセットの意味で、
楳茂都流の大御所、梅咲先生に、お稽古を付けて戴きました。
直接教えて戴くのは、
特に舞踊の基本を知らない私などには、
大きなプレッシャーでもあるのですが、
そこを恐れてビデオに逃げず、
何回かに一回は、きちんと習わねばと思います。
芝六以上に、持ち慣れない役柄ですが、大きくゆったりと、
威厳を持って遣いたいと思います。

そして獅子物と言えば、毛振り。
戻り橋の悪鬼や、
紅葉狩りなどでも経験ずみなのですが、
どうも鮮やかに振れません。
人形の腰が、定まらない為なのですが、
今回は、何かヒントを掴む積りで、挑みます。

毛振りと言えば、
幕内の人間には忘れられないのが、文吾兄さん。
お人柄そのままに、豪快な遣いっぷりが魅力の一つでしたが、
平成11年、四回目の雄獅子の時に、あの振り毛のかつらを、
振り飛ばしてしまったのです。
その昔、紋十郎師匠が「鏡獅子」で、かつらを飛ばしたという話は、
聞いていましたが、伝説としか思えませんでした。
その伝説を、目の当たりにするとは。
子獅子を遣う私も、場内のお客さまも、
外れたかつらを握りしめて、
更に力強く振り回す文吾兄さんに、どんな視線を送って良いのやら。
何とも微妙な空気が、場内を包んでいました。
それはともかく、
文吾兄さんの雄獅子の迫力に、
連日お客様から、大変な歓声、拍手が湧き起こったのも、
強く心に刻まれています。
兄さんの熱い姿を胸に、千秋楽まで励みます。

豊松清十郎

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テーマ:豊松清十郎 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2010/05/06 12:00] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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