双子の悟空「ワイルドだぜぇ」
梅雨前線も最後の一暴れ。
猛威を振るい西日本各地に
大変な被害をもたらしました。

しかし梅雨明けも程遠からず。
また今年もあの暑い暑い夏が
やって参ります。

夏、と言えば夏休み。
(生ビールと言う声もありますが)
夏休み、と言えば文楽。
(ちょっと無理もありますが)
私の
悟空デビューも刻々と
近付いて参りました。

という訳で本日は
目前に迫った
夏休み公演
「西遊記」に登場する
孫悟空のかしらについて
文楽劇場技術室の
村尾愉さんにお聞きしました。

006.JPG
村尾さん
大江師最後の弟子
村尾さんです


今回のお芝居で御覧戴く
孫悟空に用いるかしらは、
大江巳之助さんの作。
昭和56年、六十年振りに
この狂言を復活上演する時、
猪八戒、沙悟淨と共に
製作されました。

顔の表面は縮緬張り。
通常の胡粉塗りとは
質感が大きく異なります。

縮緬張りのかしらと言えば
先ず浮かぶのは「景清」。
日向島に流されて幾星霜、
厳しい風雨に晒された肌触りを
見事に表現しています。

他に用いるのは金太郎、
八戒、沙悟淨など
この世の物とは思えぬ
超人的な役のかしらに
ピッタリはまる技法です。

張っているのは狐の毛。
これもあれこれ吟味して、
狐の毛に決まったのか、
と思いのほか、
猿の毛を探しまわり
手を尽くしても手に入らず、
仕方なく狐となったのだとか。

考えてみればキツネもイヌ科。
犬猿の仲と言われますが、
孫悟空のかしらでは
犬と猿とが喧嘩もせずに
仲良く同居しております。

眼に入れるのは
金色の玉眼。
いわゆるガラス玉です。
寄り目と尻目(左右を見る動き)
が効きます。

金色の牙
金色の牙が鋭いですね

口を開けるとこれも金色の
鋭い牙が剥き出しに。
この口は上あごと下あごが
別々に動きますので、
上だけ使って威嚇するとか、
下だけ使っていじけるとか、
仕掛けの糸の取り回しで
なかなかに複雑多彩な
表情を出す事が出来ます。

尻目
尻目

尤も糸の仕掛けはあらかじめ
決めておかねばなりませんので、
舞台に出てから
思い付きで
変える訳にはいきませんが。

実はこのかしら、全く同じ物が
二つ御座います。
ケレンで見せる西遊記、
あちらと思えばまたこちら
悟空は舞台を八面六臂
縦横無尽に駆け回らねば
なりません。

実は双子
実は双子です

スピーディーに
テンポ良く見て戴く為、
宙乗りや早替わりも
スムーズに行くよう
二つ拵えました。

とは言いながら人の技、
全く同じには出来ません。
片方は猿らしくて野性的。
もう一方は人間臭くて擬人的。
なるほどなるほど、
こう並べて見比べると
確かに違う。

ワイルド?
ワイルドなお兄さん?

マイルド?
マイルドな弟?

こちらがワイルドで
こっちがマイルド。
いや、こいつが猿っぽくて
あいつが人間らしい・・・方・・・ かな?
ウーンやっぱり双子、
見分けるのは
至難の業でした。

豊松清十郎

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[2012/07/18 10:00] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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