八陣トリビア「面落ち」編
五月東京公演で、
私も出演致しました
「八陣守護城」での
ちょっと気になる
トリビアを
いくつか
御紹介致しましょう。

正清です
正清です

アップの正清
アップの正清

「正清本城」の場面で、
毒酒に侵された体を
超人的な精神力で
持ち堪えて来た正清が、
ついに耐えきれず
その顔色相貌が
一瞬にして変化する所。
前方の座席で御覧戴いた
お客様の中には、
「分かった!」という方も
おられるかと思いますが、
あそこでは「面落ち」という
仕掛けが使われていたのです。

抗しきれず
毒酒についに抗しきれず

あっという間に
顔色相貌があっという間に

役者さんでしたらあんな時、
指に仕込んでおいた青黛を
下を向いた一瞬に
頬に塗れば済むのですが、
胡粉塗りの文楽人形は
そうはいきません。
公演前の化粧直しでも
何度も塗っては乾かし、
大変手間の掛かる胡粉。
毎日の舞台で塗り直す事は
到底無理という物。

それならばどうするか。
面・・・そうお面を被せるのです。
あらかじめ青黛を塗り込んだ
かしらの上に面を被せ、
髪を捌いたその瞬間に
人形の動きに合わせて
面に付けられた糸を
介錯人が引いて
面を落とすのです。

面落ちの正体
これが面落ちの正体なのだ

お面です
お面です

このタイミングがずれると
目も当てられない事に。
今回の担当は玉勢君。
もう近頃は介錯をする事も
少なくなった彼ですが、
こういう大事な役目とあって
駆り出されました。

同じ仕掛けが
「菅原伝授手習鑑」
天拝山の段でも使われます。
時平の讒言を知った菅丞相、
それまでの穏やかな表情が一変
激しい怒りに髪は逆立ち
憤怒の形相物凄く、
という所で
同じく面を外すのです。

また逆に
病によって崩れた顔が
元の美しい姿に戻る
という場で面落ちを使うのは、
「合邦」の俊徳丸。

玉手御前の生血を呑み干す時、
あばたの描かれた醜い顔の面を
器になる鮑の貝と一緒に
人形遣い自身が持って取り去れば
その下には
昔のままの美しい顔が、
という訳です。

いずれにしてもこの仕掛けは、
お客様にそうと悟られぬ様
いかに素早く
鮮やかに為果せるかに
その成否が掛かっています。
きっと毎日介錯人は
身も細る思いで勤めた筈。
この頃とっても
腹周りの気になる私、
次回は是非ともこの介錯
買って出る事にしましょうか。

豊松清十郎

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[2012/06/04 12:17] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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