師匠の更科姫に、少しでも近付きたい。(その一)
九月公演も、中盤に差し掛かり、
ようやく少し秋らしく、
夜風も涼しくなって参りました。

今月のお役は、更科姫。
前半、姫の所は、左も足も紋付き袴姿、
三人とも出遣いです。

更科姫です
更科姫です

アップでどうぞ
アップでどうぞ

勿論これは特別な事。
他のお芝居で考えてみても、
立役でしたら、勧進帳の弁慶、
小鍛冶の稲荷明神、
女形ですと、狐火の八重垣姫、
琴責めの阿古屋など、
数えるほどしかありません。

阿古屋には三曲の演奏、
弁慶なら延年の舞、
今回の更科姫ですと
二枚扇など、
それぞれの役々に、
左遣い、足遣いの見せ場がある為、
という理由と共に、
舞台をより一層華やかに、
という演出の面も大きいと思います。

二枚扇です
二枚扇です

こういう出遣いの手伝いには、
普段と違う気配りが、
必要になります。
たとえば左遣いでしたら、
差し金を持たない、自分の左手の位置。
中途半端な所に、ぶらぶらしていては、
お客様の目障りになります。
必要のない時は、袴の脇に、
ピシッと納まっていなくては。

足遣いは、腰を落として使う為、
袴の後ろを、思い切りたくしあげて、
舞台に出ます。

もし袴の裾を、踏もうものなら、
遣いながら、少しまた少しと、
袴がずり下がってきて、
遣いにくいは、格好悪いは、
あの辛さと言ったら、ありません。
私も経験があります。
気を付けてはいても、
遣いに熱中すると、
ついつい気を取られてしまって。
半分ずり落ちた、袴姿の恥ずかしさ。
今でも忘れません。

黒衣なら、自分の遣う格好など、
気にも留めない手伝いですが、
出遣い、しかも紅葉狩の様に、
平舞台での上演ですと、
三人の遣う姿も、重要な要素。
人形の遣いに加えて、
お客様の目障りにならない、
すっきりした身のこなしが、
要求されるのです。

舞台を華やかに、
と言えばもう一点、
紅葉狩では主遣いが、
肩衣をつけて、
人形を遣っています。

この人形遣いの裃姿、
現在は道行や、舞踊物などでしか
お目に掛かれませんが、
以前は普通のお芝居でも、
ごくごく普通に、行われていたそうです。
どのお芝居で、という事は、
厳密には、決まっていませんので、
その時々の、制作と師匠方の、
話し合いで決まって来ます。
私も襲名の時は、十種香の場面を、
裃姿にして戴きました。

豊松清十郎

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[2011/09/13 11:23] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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