一部のもう一本、 「舌切雀」は大好評。 前回よりも、 化け物に工夫を加えたり、 宙乗りの雀さんの数を増やして、 最後を更に盛り上げたのも、 良かったのでしょうか。 お客様から自然に生まれた、 文楽には珍しい手拍子が、 楽日まで、途切れる事はありませんでした。 数少ない、お子様向けのお芝居として、 この先も繰り返し上演され、 夏休み公演、定番の一本となりそうです。 ここで、御質問。 「初日拝見しました。 舌切雀には、演出家がおられますか? 通常文楽には演出家がいない、という事の様ですが、 今日の舞台には、効果的な演出がたくさんあり、 どう見てもいる様な、印象を受けましたが」 こりんごさん、有難うございます。 確かに普段のお芝居の時には、 演出家がおりませんが、 今回の様な新作物の時は、 当然必要となります。 過去に「春琴抄」では、能楽の観世栄夫さん、 「狐と笛吹き」では、宝塚の植田紳爾さんなど、 外部の著名な演出家を、お願いした事もあります。 文楽劇場制作の、 渕田さんにお聞きすると、 「今回は再演という事もあり、 特に演出家は立てませんでした。 つづらの化け物の辺りや、フィナーレなど、 私もアイデアは出しましたが、 形にするのは、勘十郎さん始め、 人形遣いの方々。 そこに、小道具方の頑張りや、 音響、照明など各スタッフの、 小さな努力の積み重ねで、 出来あがった舞台です」 との事でした。 お芝居の流れを決め、 関係者を従わせて行く、 絶対的な演出家ではなく、 演者、スタッフの工夫をすり合わせて、 一つの芝居にまとめて行く、 そんな役割を担っている、 渕田さん。 気遣いは人一倍でしょうが、 今回の子供達の、熱い反応には、 大いに報われた事と思います。 豊松清十郎 豊松清十郎にご声援を!
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