自分の力を、知る事が出来ました。(六月鑑賞教室御礼・其の三)
それぞれに個性の違う、
二つの良いお手本を見ながら、
私も、自分なりに考えた組み立てを、
その場で遣っている様に、
頭の中で繰り返して、
出番までの、前半の一週間を、
充実した気持ちで、過ごしました。

そうして迎えた、稽古の舞台、
力試し、とばかり意気揚々と、
舞台に立ったのです、が・・・

人形を持った途端に、
すごい違和感が。
遥か遠くで、勝手に動いている様で、
自分の思いが、全く人形に伝わりません。
あれもしよう、これも試そうと思っていたのに、
何一つ叶わぬまま、冷や汗びっしょりで、
稽古は終了。

見て下さった先輩方からは、
「かしらがずっと、左に傾いていたで」
と注意を戴きました。

元々胴串の持ち方が悪く、
左に傾く癖があるので、
気を付けていた筈なのに。
持って鏡を見てみると、
確かに曲がっています。
若い人に、左と足を持って貰い、
注意して持っても、やっぱり左に。
もはや、役の心が、勘平の性根が、
という問題ではありません。
真っ直ぐ持つことすらできない、現実。
それからは、必死で人形を持ちました。

四年前、
初めて勘平の役を戴いた時、
ただ固まっただけで、終わってしまった悔しさに、
今回はそのリベンジと、臨んだ舞台。
また訳も分からぬまま、
終わってしまうのかと、
気力も萎えるスタートでしたが、
やがて傾く原因は、自分の目線にある、
と気が付き、傾きも収まって来ると、
少しずつですが、やりたい事も、
試す事ができる様に。
自分なりにこの四年間が、
無駄ではなかったと感じて、
千秋楽を迎える事が出来た事、
有難く思っております。

それにしても、私にとっては、
ごく普通の人形遣いになるのでさえ、
まだまだ道は遥かに遠し、
と改めて思い知らされました。
スッと持って、パッと舞台に出て、
チャッと遣える様になるには、
いったい、いつまで掛かるやら。
まだ暫くは、恥を忍んで、
邪道の道を進みます。

でも今回、出来ない事を試したからこそ、
自分の力を、知る事が出来ました。
普段以上に、舞台を見て、
遣い方に捉われず、自分なりに時間を掛け、
じっくり役作りに取り組んだことで、
収穫は、それなりにたっぷりと。
この経験を有難く受け止め、
アセラズ、ナマケズ、アキラメズ、
自分らしく、歩んで参ります。

暑くなったり、涼しくなったり、
不順な日が続きますが、
皆様どうぞお元気で。

豊松清十郎

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[2011/07/06 20:20] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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