スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告 | page top
忠兵衛頬被りの巻・その1「つんつるてんの段」
今回遣っております忠兵衛、
“人目を忍ぶ頬かむり”と、
浄瑠璃の文句にもある通り、
白手拭いに顔を包んで、
大阪から、
生まれ故郷の新口村へ、
梅川と二人、落ちて参ります。

二枚目に頬被り、
風情があって、
まことに結構な物ですが、
これが、なかなか難しい。
いや、“私には”難しい。

忠兵衛以外にも、明烏の時次郎、
夏祭の清七こと磯之丞など、
舞台の上で、頬被りをする役も、
幾つか、遣わせて戴きましたが、
頬被りの出来映えには、
自分自身が、ほっかむり、
目をつぶって、やって参りました。

稽古前に小道具さんから、
白手拭いをいただく時は、
張り切っているのです。

今度こそ、粋にすっきり、
男の色気も滲ませて、
玉男師匠の治兵衛、
簑助師匠の忠兵衛、
あんな形で、こんな姿でと、
意気込んで、人形に向かうと…
これがいけない。

師匠方、兄さんたちは勿論の事、
若い人でも、上手い人なら、
あっという間に、拵え上げるのに、
こちらは、いくら捻くり回しても、
一向に出来ません。

襞が取れない、
折山がずれる、
顎に掛からず、すっぽり抜ける。
あっという間に、10分が20分。
時間のある限り、悪戦苦闘しても、
良くなる所か、事態は益々、
悪化の一途。

皺だらけの手拭いに、
何度も何度も、
アイロン掛けては、やり直し。
いつしか白木綿も、手垢に塗れて、
薄鼠。

ピンと立つ筈の、手拭いの端も、
情けなく、うな垂れています。
それならと、のりを吹きかけ、
アイロンで固めて、再挑戦。
あまり固くしない方が、
良く締まって形も良い、
という事を知らず、また何回も。
やがて薄鼠が、黄ばんできて、
なんとも奇妙な色合いに。

もうこれで良し!
と切りを付けた筈が、
ふと見ると、右が長い。
ちょっと切って、結び直すと、
今度は左が。

終いに手拭いは、つんつるてん。
恥を忍んで、もう一枚、
小道具さんに戴くと、
振り出しに戻って、
また一から、やり直し。

時間も迫って、舞台に出る頃には、
疲労困憊、戦意喪失。
手拭いも、こちらの首もうなだれて、
すっきり、きりりと二枚目の雰囲気など、
出せよう筈も、ありません。

豊松清十郎

にほんブログ村 演劇ブログ 古典芸能へ 豊松清十郎にご声援を!

テーマ:豊松清十郎 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2011/05/21 10:18] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
トラックバック
トラックバック URL
http://seijuro5th.blog113.fc2.com/tb.php/199-f4ca104c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。