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なぜあそこで、ここまで来ないのだろう。(4月公演御礼・その6)
そして、最後に。
千秋楽まで、辿りつけたのは、
何もかも、簑助師匠のお陰でした。

私にとって、ほぼ初めての傾城かしら。
しかも、師匠と競演させて戴くと言う事で、
さぞかし稽古から、色々と教えて戴ける物と、
思っていました。
ところが今回、楽屋では宮城野について、
一言も仰いませんでした。
そう、言葉では。

始めは、こちらも必死で、
分かりませんでした。
なぜあそこで、ここまで来ないのだろう。
どうして、ここで動かしてくれないのだろうと。
何日か過ぎて、やっと分かりました。
毎日の舞台で、
真剣勝負のその中で、
言葉ではなく遣いの中で、
全てを教えて下さったのです。

例えば、私の立ち位置が、
お芝居の中で違っていると、
師匠は近寄ってきて、下さいません。

姉妹とは言え、
年月を隔てた二人、
始めから距離が、近すぎてはいけない、
段々に間合いが、縮まって行かねば。
かと言って、それにとらわれ過ぎると、
舞台のどこで芝居をするかを、忘れてしまう。
そのバランスも、考えないと。

昨日まで、ずっと離れた所にいたのが、
こちらがしっかり考えて、
ここだという所に行くと、
嘘の様に、スッと近寄って下さる。
これじゃまるで、「淀五郎」ですね。

豊松清十郎

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テーマ:豊松清十郎 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2011/05/03 11:05] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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