息を一つにする瞬間。お楽しみくださいませ。(四月のご案内です・其の5)
最後の演目は、「女殺油地獄」です。

放蕩息子の凶行を描いた、この作品は、
その頃の観客には、
テーマが新し過ぎたのか、
初演のみで、その後の上演は、
ずっと途絶えておりました。

再び日の目を見たのは、
二百年も後の明治末期。
文楽で復活したのは、
更に下って、昭和27年。
しかしそれからは、
現代の世相を、
鮮烈に映し出したような内容が受け入れられ、
繰り返し再演されて、今では、
人気狂言の一つとなっています。

与兵衛が、始めから殺意を持って、
豊島屋の門<かど>を入ったのか。
お吉への淡い恋心が、
無心を拒まれたゆえに
殺意へと変わって行ったのか。
両親への改心の言葉は、
真実なのか、口先だけなのか。

お客様も、このお芝居では、
御覧になる度に
様々な解釈をなさる事と思います。
今回の舞台は皆さんの目に、
どのように映りますでしょうか。

この舞台でも、布引滝と同じく、
和生さんのお吉に、
勘十郎さんの与兵衛と、
初めての組み合わせで、
御覧戴きます。

其々の役への、
解釈は勿論ですが、
豊島屋では、暗がりの中で、
油にまみれた二人が縺れ合う、
殺しの場が見どころ。

歌舞伎ですと、油の代わりに、
ふのりを使う様ですが、
文楽はそこは人形の強み、
滑る姿で、油を表現します。
たたらを踏んだ与兵衛が、
土間の端まで、ツーっと一気に滑る。
手伝いとの息が合わないと、
滑っている様には、見えません。
足遣いにとっても、腕の見せ所。
もがくお吉の足も油に滑って。
ここの膝立て、ふき捌きも難しい。
三人が、息を一つにする瞬間。
お楽しみくださいませ。

始めにも書きましたが、
春まだ浅い、凍える寒さの避難所で、
辛い毎日を送っていらっしゃる、
たくさんの被災者の皆さんの、
ご苦労を忘れる事なく、
四月の舞台に、
立たせて戴きます。

たくさんの
皆様のご来場を、
お待ち申しあげております。

豊松清十郎

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[2011/03/31 17:00] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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