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おのおのらしく、思い切り、力を発揮する。(「二人三番叟」小考・2)
さて、ここで登場する二体の三番叟、
一体は、
ちゃり首の三枚目、
もう一体が、
検非違使首の、二枚目。
かしらの塗り色から、
「赤、白」とも、呼ばれています。

実は、戴いた配役表には、
「赤、白」の指定は無く、
ただ、「三番叟」と書かれているばかり。
とは言っても、昔から、
顔が上の者が、三枚目を遣う、
という、不文律が御座います。
二枚目の方は、基本通り、型通り、
決まった様に勤めれば、形になりますが、
三枚目は、遊びが無いといけません。

しかしこの、
遊ぶ、という事が難しい。
振りや形は、誰でも教えてくれますが、
遊びは、それぞれの個性。
全て、自分で編み出すしかありません。
また、それでこそ、面白さが出るので、
言われた通りに、動かすだけでは、
お客様には、笑って戴けません。

「笑い薬」の祐仙や、
「帯屋」の儀兵衛の様に、
語りでも人形でも、
笑わせるのは、難しいのです。
だからこそ、
上の者が三枚目、
となったのでしょう。

因みに、「顔が上」というのは、
文楽内での、経験、地位が高い、
という事です。

今回で言うと、
入門の早い私が赤、
相手役の、簑二郎君が白、
という事になる所です。
しかし、私からお願いして、
ヴィアーレでは、
私が二枚目を、持つ事にしました。

何にでも、神経が行き届き、
人から言われる前に、
スッと体の動く、
二郎さん。
融通が効かず、とっさに違う事をされると、
慌てて仕舞って、
付いていけない私。

勿論それぞれに、長所でも、
短所でもある訳ですが、
人としての、個性に反した役を、
顔が上だ、という理由だけで、
無理にやる事は無い。

各々が、おのおのらしく、
思い切り、力を発揮できる役柄に、
取り組んだ方が、
よりお客様に、楽しんでいただける、
そう思って、決めました。

勘緑君とは、良く一緒に仕事をしますが、
彼との三番叟は、大昔から必ず、
私が検非違使担当。
二人の三番叟を、御覧戴いた事のある、
お客様は、今これを読んで、
「ウン、確かに」と、
頷いて下さっている筈です。

勿論、三枚目を担当する事も、
良くありますし、他の役でも、
「自分の個性に合わないから、出来ません」
などと言う積りでは、ありません。
色々な役を、やらせて戴いてこそ、
個性が磨かれていくのですから。
でも、好きな風に選べるのなら、
効果的な方に、と考えて、
今回は、二枚目を担当いたします。

二人の動きが、上手くかみ合い、
思惑通りに、客席をしっかり温めて、
日高川に渡せたら、と願って、
勤めさせて戴きます。
ヴィアーレ座も、お楽しみに。

豊松清十郎

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テーマ:豊松清十郎 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2011/03/01 21:06] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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