今年一年、ありがとうございました。(今年一年のお礼・其の二)
今改めて、読み返してみると、
今年ここまでの思いが、次々に甦り、
皆様のご声援と共に、
私にとっても、
このブログが、大切な足跡となっています。

様々な事があった一年も、
押し詰まった、今月10日、
小道具係の
久我敬一郎さんが、
急性肝炎で亡くなりました。

まだ41歳の若さ。
文楽が、
物作りが大好きで、
一度作った小道具も、
少しでも使い易く、と、
何回も調子を聞きに来ては、
手直しをしてくれました。

夏休み公演、「日本振袖始」の、
ヤマタノオロチを作る時は、
何日も、劇場に泊まり込んで、
公演直前まで、
頑張っていました。

7月24日アップ分のブログで、
大蛇の首の前で、
帽子を被っているのが、
久我君です。
「裏方ですから」と断られ、
しっかり顔を撮れなかったのが、
今は残念でなりません。

オロチ作りのはじまり

根気のいる作業です
↑久我君です。

10月30日分にアップした、
11月公演、新調のお猿さんが、
遺作となりました。

男の子です

女の子です
↑久我君の遺作です。

若手の人形遣い達にも慕われ、
お通夜には、東京公演後、
木更津の斎場まで、
何人も駆けつけ、
手を合わせていました。

あと二十年、小道具方は安泰、
と信じていたのに。
残念です。

思い返せば、3月には、
玉英さん、玉松兄さんも亡くなりました。
逝ってしまった、掛け替えの無い人達の、
大切な思い出を胸に、
今年も終わります。

そして、くる年。
まず正月公演には、
清三郎君が、
新、三代目文昇として、
お披露目。

ご心配をお掛けした、
簑一郎君、勘市君も、
お陰さまで、復帰いたします。

更に、
4月大阪、
5月東京では、
竹本源大夫、鶴澤藤蔵の、
襲名披露公演もございます。

文楽にとっても、
皆様にとっても、
素晴らしき、
良き卯年となります事を、
願っております。

改めて、最後にもう一度。
今年一年、ありがとうございました。
来年も、どうぞ宜しくお願い致します。
新春3日、
劇場でお待ち申し上げております。

豊松清十郎

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[2010/12/31 19:00] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
多くの方がアクセス下さる事、嬉しく感じています。(今年一年のお礼・其の一)
博多座公演、今年も大入りの出る、
盛況の内に、幕を閉じました。
文楽を
待っていました!
という、
お客様の熱気に後押しされて、
自分なりに、充実した舞台を、
勤める事が出来ました。
舞台を終えての博多の味、
今年は一入、
美味しく感じられました。

さて、劇場でも、またこのブログにも、
「来年も是非、博多座で」
という、嬉しいお声を、多数戴きました。
どうやら、来年も変わらず、
年末に開催予定との事。
本来、短期間で、独自の演目、
という公演は、勧進元も大変。

短くとも、大道具、交通費などの経費は、
本公演と、同じように掛ります。
近年、こうした公演が、少なくなったのも、
今のご時世、無理もありません。
その中での、この知らせ。

歳も押し詰まり、
お忙しい中、
博多座に駆けつけて下さった、
たくさんのお客様のお陰。
来年も、再来年も、
博多座の舞台に立てる事を、
(そして、博多の美味かもんば、味わえる事を?)
心から願っています。
ありがとうございました。

博多座から帰ると、
新春公演の舞台稽古。
28日までに、無事済ませました。
文楽劇場の開場以前、朝日座の頃は、
29日までのお稽古。
明けて2日が初日でしたから、
中三日しかありませんでした。

今は、初日も3日となり、
少しゆったりと、年越しを味わえます。
でも、稽古から本番までに、五日間もあると、
その間、せっかく稽古した事を、
お屠蘇気分で、
すっかり忘れてしまいそうで、
日程が変わって、暫くの間は、
却ってゆっくり出来ませんでした。
今は昔の思い出です。

いよいよ今年も、残り僅か。
2月から始まった、
このブログ、
私にとって、書く事で、
お客様に思いを伝える、
という、生まれて初めての経験。
何気なく書いた、小さなエピソード、
思いつくままに添えた、1枚の写真を、
こんなに喜こんで戴けるとは。

当初の頃の様に、更新出来ずにいる今でも、
変わらず、多くの方がアクセス下さる事、
申し訳無くも、有り難く、
本当に、嬉しく感じています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

豊松清十郎

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[2010/12/30 19:37] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
博多座文楽公演「ひらかな盛衰記」神崎揚屋の段
今年の夏に
「松右衛門内の段」で
清十郎のお筆を見ています。

この場のお筆は
難しい役柄でした。
私にはお筆の胸の奥が覗けそうで覗けず、
二度見直しても
モヤモヤした澱のようなものが残りました。

筋書きを読んだり
解説を参考にしたら
手っ取り早いのでしょうが、
好みません。
己の感性にのみ頼ります。

馬齢を重ねて
尚更鈍るようになりましたが、
せめて芝居の世界でならば
勝手気ままに
五感をも駆使してみたいと思うのです。

最近の
清十郎が遣う役は
難易度が高くなりました。
芸や型の踏襲だけで納めずに、
彼が解釈に解釈を重ねて試みている姿が
良い意味で見え隠れします。
毎日所作が変化していって構わないのです。
これでベストだなんて思ったなら
行き止まりです。

11月の糸滝もさんざん迷ったようでした。
見守るしかありませんね、
客の立場では。

さて、博多座でのお筆。
揚屋でお筆が妹の梅ケ枝と対面する前後が
ドラマチックでもないのに
何故か趣があり、
良い雰囲気でした。

勘十郎が上手く受けたのも
一因でしょうし、
清十郎が邪魔にならずに
しかも存在感を示す力が備わったのも
効果を表しました。

しっくりいきました。
こんな感じは最近とんと味わってなかったから
心地よく見終えました。
どういう事なのでしょうか。
ちょっと不思議です。

子龍

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[2010/12/29 22:30] | 子龍がゆく | トラックバック(0) | page top
一年締めくくりの舞台、大切に勤めます。(12月公演御礼・その2)
ご無沙汰ばかりの更新ですが、
今日も豆知識を一つ。
今回、お種が引っ込みの時、
小柄(こづか)を口に銜えますが、
その仕掛けや如何に?

小柄です
↑これが小柄です。

実はかしらの口元に切られた隙間に、
針金を曲げて作った、
仕掛けを差し込むのです。
沼津の十兵衛や、
宵庚申の半兵衛が、
筆を銜える時にも、
同様の仕掛けを用います。

こんな仕掛けが
↑こんな仕掛けが。

お種さんです
↑お種さんです。<

口元に隙間が
↑口元に隙間が。見えますか。

くわえた姿は凛々しくて素敵です
↑くわえた姿は、凛々しくて素敵です。

ところが、ここで問題が一つ。
女形や、立役でも
文七や、源太(げんだ・と読みます)など、
口元が開いて、歯の見える物もありますが、
検非違使(けんびし)や金時など、
グッと口を結んでいるかしらには、
仕掛けを差し込む隙間がありません。

ケンビシのかしら
↑これがケンビシのかしら。

口をしっかり結んでいます
↑ね、口をしっかり結んでいます。

その場合は、どうしたら?
なんと、鼻の穴に、
竹製の栓を差し込むのです。
妹背山の芝六や、
忠臣蔵の平右衛門など、
手ぬぐいを銜えますが、
検非違使かしらですから、
仕掛けは鼻に、という事になります。

因みに文七だと
↑因みに文七だと。

しっかり歯が見えています
↑しっかり歯が見えていますね。

忠臣蔵七段目、
平右衛門がおかるに、
「死んでくれい」と迫って嘆く場面、
銜える手ぬぐいが、鼻の穴に?と
ふと想像されたら・・・
いやいや、これはちょっと、余計なことまで、
紹介し過ぎたかもしれません。

21日からは、
今年最後の舞台、
博多座公演がございます。
私の母が博多生まれ、という事もあり、
博多弁は、耳に優しく馴染んでいます。

新鮮な玄界灘のお魚はもちろん、
屋台、もつ鍋、とんこつラーメン、
美味しいものばかりが、目に浮かんで・・・
いえいえ、勿論一年締めくくりの舞台、
大切に勤めたいと、思います。
九州の皆様、
どうぞよろしく。

豊松清十郎

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[2010/12/21 08:30] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
収穫たっぷりの、大切な舞台になりました。(12月公演御礼・その1)
すっかり冬らしくなりました。
今年最後の東京公演も、
お陰さまで、
大入りの内に、
幕を閉じさせていただきました。
今年もたくさんのご来場、
ありがとうございました。

すっかりお馴染みの大入り袋
↑すっかりお馴染み、大入り袋。今年を嬉しく、締め括りました。

今回遣わせて戴いたのは、
お種。
公演前に思っていた通り、
いや、それ以上に、
本当に大変な役でした。

いつもの様に、目を閉じ、かしらを伏せて、
美しく悲しみに浸っている暇などありません。
捨てられた筈の我が子が、
目の前に現れた喜びも、ほんの束の間、
また直ぐに引き離されると、
今度はあろう事か、
雪の振り積もる、戸外に置き去り。
半狂乱になって、峯松を我が手に抱くまで、
全く気の休まる所がありません。

初日からしばらくの間、舞台に出るまでは、
「途中で心が折れたらどうしよう」
と心配で、心配で。
長丁場を、気を緩めることなく、集中し続ける。
良い経験でした。

そしてもう一つは、
二人の子供の間で、
右へ左へ走り回り、果ては戸を蹴破って、
我が子を抱きしめ涙に暮れる、
お種の気迫を、いかに伝えられるか。

普段、割とおっとりした役の多い私。
自分の性格もあり、
人形に入り込んで、
我を忘れて遣う、
という事が苦手です。

感情の迸る場面でも、
形だとか、
段取りの方に、
ついつい気が行って仕舞って。
しかし今回は、そんな事は言っていられません。

津駒、富助の気迫の籠った浄瑠璃、
舞台に立っているのは、
お種ただ一人。
役に入り込んで、
我が子の命を助けたいという、
母の心と一つにならねば。
その一心で、勤めました。

横蔵を追って、
上手に駆け込む前の、
決まりで出す掛け声も、
楽日になるにつれ、
大きくなっていった気がします。

出来はともかく、
少なくとも心を定め、
目標を定めて舞台に立てた事で、
11月の糸滝の様な悔いは無く、
自分としては、
収穫たっぷりの、
大切な舞台になり、喜んでおります。

若手公演と言う事で、いつもより一層倍の、
拍手を送ってくださった皆様、
本当に、ありがとうございました。

豊松清十郎

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[2010/12/19 18:11] | おしらせ | トラックバック(0) | page top
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