今回は、「一途」と言う所を大切に、勤めたいと思っています。
ようやく秋らしくなったかと思ったら、
季節外れの台風。
全く、いつまでも落ち着きません。
それでも、夏の暑さと、秋の長雨で、
今年の紅葉は見事だとか。
野菜は高いが、
松茸は豊作!
とも聞きました。
皆さんのお口には、入りましたでしょうか。

そんな中、
大阪公演が初日を迎えました。
本日、台風通過中にも関わらず、
たくさんのお客様に、お越しいただきました。
ありがとうございました。

今公演、一部は
「嬢景清八嶋日記」と「近頃河原の達引」
二部は
「一谷嫩軍記」に「伊達娘恋緋鹿子」
を上演致します。
私は一部で、
景清の娘、糸滝、
二部では、
八百屋お七を遣います。

糸滝は純朴、素朴な娘。
まだ見ぬ父に会いたい、という一心で、
我が身を廓に売って、父のもとに向かいます。

お七は大店の娘。
親の意見も、耳には入らず、
ただ一途に、
恋人の事を思い詰め、
炎の様に、火の見櫓に取り付きます。

同じ娘役とは言え、性格は大きく違って見えます。
しかし、一途、という点で、
二人の思いに、変わりはありません。
それぞれの、個性の違いは大切にしながらも、
今回は、この「一途」と言う所を大切に、
勤めたいと思っています。

さて、一部上演の、
堀川猿回しの段では、
その名の通り、二体のお猿さんが登場致します。
お芝居の終盤、猿回しの場面で大活躍のこのお猿。
実はこれまで遣ってきたのは、本公演に限ると、
紋壽、勘十郎、勘緑、勘市と、
わずか四人だけなのです。

男の子です
↑男の子です。盃をかぶっています。

基本的に指人形ですが、
左右に一体ずつ持ち、
それぞれに、違う動きをしなければなりません。
器用で無いと、とてもとても。
お酒を飲んだり、盃を頭に載せたり、
喧嘩したかと思うと、キスしてみたり。
リズミカルに、軽やかに、明るく楽しく。

女の子です
↑女の子です。実は今回から、かしらも新しくなりました。

その猿の無邪気な姿に、
死出の旅立ちを見送る、母、兄の悲しみが浮き出て、
笑いながら、涙がこみ上げてくる。
そんなお猿さんファン、
たくさんいらっしゃる事と思います。

その大役(?)に、今回
文哉君が、挑む事になりました。
稽古、初日を見た限りでは、
初役にしては、
なかなか健闘しておりました。

文哉君です
↑文哉君です。蛸に続いての登場。動物路線でしょうか?

微妙な高さで持つ為、
腰に負担のかかるこの猿。
持病の腰痛もものかは、頑張っております。
錚々たる先輩に、どこまで近付けるか。
皆様、温かく見守って戴けますように。

今月も、
文楽を、どうぞよろしく
お願い申し上げます。

豊松清十郎

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[2010/10/30 21:34] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
「とにかく楽しく」と言う事でした。(秋の地方公演御礼其の二)
今回は、
釣女の太郎冠者を勤めました。
あまり経験の無い役どころ、
三枚目を遣う、という楽しみの半面、
もしクスリとも笑って戴けなかったら、
どうしよう、という心配が。
何と言っても、六段目を御覧になって、
勘平、おかる、母親の悲しい人間模様で、
悲しみに沈んだ皆さんに、
「がっはっは」と、腹の底から笑って、
スッキリと帰って戴くのが、役目なのですから。

テンポを速く、リズム感良く、動きを大きくと、
技術的にも難しい役なのですが、
今回、出の前に考えたのは、
たった一つ。
「とにかく楽しく」と言う事でした。
失敗しても、下手でも良い。
出る前の揚幕の所では、
振りの事など、なるべく忘れて、
笑顔を作る事に、専念していました。

それが功を奏したかは、分かりませんが、
お陰さまで、どうにか雰囲気は壊さずに、
楽しんで戴けた様子。
英兄さんの軽妙な語り、
勘十郎兄さんの醜女の遣いにも助けられて、
笑い声が上がった時の、安堵感。
漫才、落語など、お客様の笑いに身を削る、
芸人さん達の大変さが、
少し分かったような、気がしました。

「あんな役も、やるんですね」
というお声も掛けて戴きましたが、
自分としては、ほめ言葉として、
聞いておきました。
太郎冠者のおかげで、
少しは、ポジティブシンキング(?)が、
身に付きましたでしょうか。

16日の土曜日には仙台、
17日、日曜日には、
山形県の庄内町で、楽日を迎えます。
後二回、
精一杯笑って(?)勤めたいと思います。
毎年熱心な、仙台のお客様、
初めて伺う、庄内町のお客様、
客席でお目にかかりますのを、
心より、お待ち申しあげております。

その後、
大阪公演の前に、
20日から25日まで、
ギオンコーナーにも、
出演いたします。
何かのご縁で、祇園観光される皆様、
弥栄会館でも、お待ち致しております。

豊松清十郎

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[2010/10/16 13:57] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
連日、舞台への励みにさせて戴きました。(秋の地方公演御礼其の一)
10月も半ばとなり、深まる秋の中、
鍋料理の恋しくなる季節、
の筈ですが、
大阪では、未だに夏日の毎日。
野菜の値段も、なかなか落ち着かず、
秋らしさをじっくりと味わうには、
今しばらく、時間がかかりそうです。

そんな中、
9月26日の河内長野から始まって、
全国を回った秋巡業も、十か所を終え、
残す所、仙台市、庄内町の、
二か所のみとなりました。

今年、秋に関しては、例年よりも公演回数が少なく、
少々残念に思っておりましたが、
各公演地では、どこも盛況。
中には完売!という所もあり、
ぎっしりの客席を目の前に、
連日、舞台への励みにさせて戴きました。
大阪、東京だけでなく、全国各地に、
文楽を愛して下さるお客様が、
たくさんいらっしゃる事を実感し、
心から嬉しく、感謝しております。
有難うございました。

豊松清十郎

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[2010/10/14 19:41] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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