人形遣い若手コンビの玉彦君と勘介君。(千秋楽御礼其の二)
さて、また登場してもらったのは、
人形遣い若手コンビの、
玉彦君と勘介君。

勘介君、
今月は「鰯売」で、師匠(勘十郎)の猿源氏を背に乗せて、
お馬さんを被っておりました。
気性の荒い馬、という所を彼なりに考えて、
色々細かい芝居もしていた様子。
「あの馬、可愛かったですねぇ」という声を、
何人ものお客様から、聞きました。

左から勘介君と玉彦君
↑お馬さんを囲んで、左から勘介君と玉彦君。

玉彦君はと言うと、
活躍したのは、
夜の部、「桂川」の道行。
浅黄幕が落ちて、お半が長右衛門の背から降りると、
吠えかかる野良犬、あの吠え声が彼の担当。
たまたまある日、楽屋裏で電話していたら、
けたたましい犬の吠え声。
「劇場の近くで珍しいな」と目を凝らすと、
お稽古中の玉彦君。
すっかり騙されましたが、
いやいや、なかなか大した出来。

そういえば、
玉彦君の師匠の玉也さんも、
昔よくこの鳴き声を勤めて、
評判を取っていました。
やはり師匠直伝でしょうか(まさかねぇ)。
勿論二人とも、
動物だけではありません。
足も頑張っていますし、
今回、桜ノ宮の段では、ツメ人形ながら、
文雀師匠の渚の方に絡んで、仕所のある、
里の子を遣って、大奮闘でした。
二人のこれからの成長に、
変わらぬご声援を、お願い申し上げます。

頑張った里の子です
↑頑張った里の子です。

私はこの後、
24、5日が知立で、ダンスとのコラボ公演、
26日からは秋の巡業で、
太郎冠者を遣い、
全国を回ります。

やっと秋らしく、
過ごし易くなって参りました。
各地の舞台で、皆様にお目にかかれますように。

豊松清十郎

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[2010/09/22 09:14] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
気になるのは、やはり鰯売の評判。(千秋楽御礼其の一)
九月公演も、千秋楽を迎えました。
お陰さまで、今回も大入り。
特に今月は、チケットが売れただけでなく、
舞台から、空席の見えない日が、
多かったように感じました。
連日記録破りの暑さの中を、
劇場に足を運んでいただいた皆様、
ありがとうございました。
心から御礼申し上げます。

大入り袋です
↑恒例、吉例の大入り袋です。

今月、お客様から
「昼の部には、悪人は出てきませんね」
と言われて、気が付きました。
なるほど、「良弁杉」も「鰯売」も、ハッピーエンド。
殺される人も、悪巧みも無く、
文楽には、珍しい組み合わせだったかも知れません。
光丸をさらう大鷲が、唯一の悪者(?)でしょうか。

そんな中、気になるのは、
やはり鰯売の評判。
歌舞伎では大人気の演目ですが、
文楽では、初めての上演。
どんな風に皆さんの目に映るか、
楽しんでいただけるのか、
毎日、客席の反応が気に掛かりました。

幸い、新作という違和感は無く、
自然にお芝居に、入って戴けた様子。
あちこちで、笑い声が上がり、
笑顔でお帰りになる、お客様の姿に、
まずは、ホッといたしました。

これは奇を衒わず、
古典物の様に、
と苦心した、
咲さん、燕三さんの作曲、
語りの力が大きかったと思います。

蛍火としては、
猿源氏が一目で惚れる色気、
辺りを払う、当代一の傾城の貫禄、
丹鶴城の姫の気高さ、
などがもっと出せれば、
更に楽しく、すっきりと笑って戴けたのに、
と反省ばかりです。
もしまた再演、という嬉しい事があれば、
と願っております。

豊松清十郎

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[2010/09/20 18:12] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
「少し大間に、ゆったりと」とお願いしました。
九月に入り、本来なら暑さも和らぎ、
風邪も涼やか、爽やかな季節、
の筈なのですが、
今年はとてもとても。
めまいのしそうな日差しの中、
お越しいただくお客様には、
ご苦労をお掛けいたします。

さて、そんな中で始まります、九月公演。
「良弁杉由来」では、
和生さんが良弁僧正、
文雀師匠が渚の方、
と師弟競演が話題です。

第二部「勢州阿漕浦」は、
昭和59年以来、久し振りの上演となります。
私は、代官奥村兵庫を遣わせて戴きます。

続いて「桂川連理柵」、
今回はじっくりと、
お半と長右衛門が深い仲となってしまう、
石部宿屋の段から御覧頂きますので、
お馴染、帯屋の段での、
それぞれの人物の葛藤も、
より深く、味わっていただける事と思います。

そしてもう一本が、一部に上演の
「鰯売恋曳網」。
新作とは言いながら、文章も作曲も、
古典の定法を、しっかり踏まえた作り方。
お稽古をしていて、全く違和感なく、
スッと入り込めました。
お芝居の内容は、お伽話ともいうべき、
肩に力の入らない、軽やかな展開。
幕がしまって、劇場を出られた時、
すっきり爽やかな気分で、お帰り戴けたら、
と願っています。

今回、振付をして下さったのは、
藤間流の宗家、八世勘十郎さん。
歌舞伎の「鰯売」も担当されています。
舞踊劇ではありませんので、
猿源氏の戦物語や、
蛍火のくどきなど、
所々に振りを付けて戴きました。

イケメンの猿源氏君
↑イケメンの猿源氏君です。

さわやか系蛍火さん
↑蛍火(私が遣います)さんは、さわやか系ですね。

うちかけを着た蛍火さん
↑うちかけを着た、後ろ姿、素敵でしょう。

普通ですと、人間の動きは速く、細かいので、
人形では、せわしなく見えてしまいます。
そこで戴いた振りを、ご相談の上、
少し間引かせて戴くこともあるのですが、
今回打ち合わせの時に、
「少し大間に、ゆったりと」とお願いしましたら、
たっぷりと、
それでいて文楽には無い動きも取り入れて、
面白く拵えて下さいました。
文楽の振り付けは、初めてとの事ですが、
やはりさすが!と感心いたしました。

さて、トリビアを一つ。
猿源氏が大名に化けた時の、
裃や着付けの紋、
丸に鰯三本なのですよ。
これは文楽オリジナル。可愛いでしょう?
歌舞伎では、役者さんの紋を付けるとか。
三本は、三島さんから来ているのでしょうか。

丸に鰯三本
↑丸に鰯三本、これは紋帳にはないでしょう。

暑い中、劇場まで足を運んで下さるお客様に、
喜んでいただけますよう、精一杯務めます。
九月公演も、どうぞ宜しくお願い致します。

豊松清十郎

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[2010/09/03 12:53] | あきらめず文楽一途 | トラックバック(0) | page top
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