夜中にこの光景を御覧になったら、思わずぞぞーっと。(内子座・その2)
昼夜の入れ替えには、たっぷり汗を含んだ、
襦袢や着付けが、
楽屋の窓に並びます。
炎天で、あっという間に乾燥終了。
そんなお行儀の悪い事、
本公演では考えられませんが、
何故か内子座では、許されてしまう。

内子座名物ではありません
↑内子座名物ではありません

帰りの駅に向かうお客様も、
たくさんの干し物をバックに、
笑顔で、記念写真を撮って行かれました。
舞台と客席とが、手を伸ばせば届きそうな位、
近いのが内子座の魅力。
その温かな一体感を、
来年は是非、味わいにお越し下さい。

楽屋でござーい
↑楽屋でござーい

最後にトリビアを一つ。
この器具は、
その名も人形吊り。
時には、首つり!
などと言う事も。

ブランコではありません
↑けしてブランコではありません

本公演での人形は、
一体ずつ、楽屋に収められますが、
地方に来ると、スペースが無いので、
こんな感じで、出番を待ちます。
かしらはかしらで、別にズラッと一並び。
様子を知らない方が、
夜中にこの光景を御覧になったら、
思わずぞぞーっと、
暑さも吹っ飛ぶかも知れませんね。

夜中にお越しにならないように
↑けして夜中に百匁蝋燭でお越しにならないように

内子座が終わると、
東京公演も目の前。
気持ちを切り替えて、取り組みます。
まだまだ猛暑は、緩みそうもありませんが、
皆様どうぞ、ご自愛くださいますように。

豊松清十郎

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[2010/08/26 13:07] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
百匁蝋燭も、吹き消したい誘惑に、駆られました。(内子座・その1)
内子座公演から帰って参りました。
八月半ばの、まさに盛夏の舞台。
暑さは覚悟の上ですが、
それにしても、格別の暑さ。
その中を、今年も変わらず、
たくさんのお客様に、
お越しいただきました。

内子座でござーい
↑内子座でござーい

この公演は、地元四国の方ばかりでなく、
日本全国から、「内子座は是非」と、
お出で下さる方の多いのが、特色。
何と言っても、昨今のホールでは味わえない、
芝居小屋の魅力でしょう。
北海道のお客様もいらしたとか。
有難うございました。

今年の演目は、
「中将姫雪責」と「帯屋」。
中将姫の舞台では、陽炎燃え立つ真夏に、
手足も凍える、厳冬の雪景色。
少しでも涼しさを、感じて戴けましたでしょうか。
心なしか客席では、お客様の扇子を使う手が、
止まっていたように見えましたが。

心頭滅却すれば、という言葉の様に、
真剣勝負の舞台上、
「暑さ寒さなど感じません」と言いたいところですが、
ライトが煌々と照り付ける中、
やはり暑いものは暑い!

このライトが容赦ないのです
↑このライトが容赦ないのです

特に左、足の手伝いは、
黒衣、黒足袋、黒タイツ、
黒ずくめで、熱の逃げ場がありません。
私も今回、桐ノ谷の左を勤めましたが、
舞台左右に灯されている、
内子名産の百匁蝋燭も、
吹き消したい誘惑に、駆られました。

とは言いながら、
入門した頃、巡業で回った、
地方の劇場は、
冷房の効かぬ所も、当たり前でした。
じっと座っているだけの足を遣うと、
足元には、汗で水たまりが、なんて事も。
ここ、内子座に来ると、すっかり忘れていた、
そんな懐かしい事も、思い出されます。
これも芝居小屋の、魔力でしょうか。

豊松清十郎

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[2010/08/23 15:41] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
同じような年輩の方を、ある人は師匠、ある人は兄さんと。
ここまでブログ読んで頂いて、
私が書いたものの中で、同じような年輩の方を、
ある人は師匠、ある人は兄さんと呼んでいて、
不思議に思われたのではないでしょうか?
師匠と兄さんと、
その区別はどこにあるのかしら?
と。
今日は、そのお話を、いたしましょう。

その差は・・・
芸の差? いえいえ。
その疑問を解くカギは、ズバリ、
私が文楽に入門した時にあるのです。
入門時、既にお弟子さんのいらっしゃった方は、師匠。
まだお持ちでなかった方は、兄さん、
とまあ、こう云う寸法です。
ですから、嶋さんでも、清治さんでも、
本来、私にとっては兄さん。
三人もお弟子さんのいらっしゃる紋寿師匠を、
兄さん、兄さんと呼ぶのも、そういう訳なのです。

兄さん、と言えば、今は段々
“○○兄さん”
という言葉も聞かれなくなってきました。
そこには、研修生の制度が関わっています。
私が、正式に文楽協会の技芸員になった昭和49年は、
玉輝さん、文字栄さんの研修一期生の入門と同じ。
それまでは、
5年入門が遅ければ、ほぼ年齢も五つ下、ということで、
兄弟子を兄さんと呼ぶ事に、何のためらいも無かったのです。
ところが研修が始まって、
入門者の出身地も日本全国に広がると共に、
年齢にも広がりが出たのです。
芸事は、
「すこしでも早い内に」
と、中学卒が大半だった所へ、
高校、大学を出た研修生が、大量に入門して来ました。
いくら「一日早ければ、兄さんだ」という文楽の世界でも、
七つも八つも年下の子供に、
「兄さん、兄さん」とは言いにくいものです。
私も、清五郎、和右君達が入門するまで、
年上の後輩ばかりでしたので、
ぞんざいな物言いも出来ず、どう付き合ったら良いのか、
困った覚えがあります。

そんな訳で、
「○○兄さん、○○にいちゃん」
の代わりに
今は
「××さん」
という呼び方が、主流になっています。
そうではないと分かっていても、「兄ちゃん」に較べると、
何となく人との交わりが、一味薄くなったような・・・

この頃、段々と、昔の事を思い返すようになってきました。
年を取ったと云う事なのかもしれません。
それはともかく、
文楽今昔物語、折に触れてまた少しずつ、
お話しさせて頂きます。

豊松清十郎

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[2010/08/19 19:54] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
夏休み公演ありがとうございました
夏休み公演、おかげさまで千秋楽を
迎えさせていただきました。
今年は、殊の外の暑さの中、
たくさんに御来場下さり、
ありがとうございました。

この公演も、
客席から御覧戴くだけでは、
なかなか気付かないあちこちを、
どんどんご紹介する積りが、
大蛇のお話だけで、
楽日となってしまいました。
何が出るか、と楽しみに
お待ちいただいた皆様には、
まことに申し訳ございません。
ちょっと早めの夏休み、
という事で、御容赦下さいませ。

次回11月の大阪公演、
配役も既に出ました。
私は
「嬢景清八嶋日記」の糸滝と、
「伊達娘恋緋鹿子」のお七を勤めます。

ひたすら父を思う、純朴な田舎娘と、
我が身を捨てても、恋に身を焦がす町娘。
娘と言っても、対照的な二役。
違いを感じて戴けるように、
遣い分けを、と願っています。

さてその11月公演を、心待ちにしている
大夫さんが一人。
研究生としての見習い期間を終え、
この夏休み公演から、技芸員となった、
小住大夫君です。

小住大夫君です
↑小住大夫君です

名前でお分かりの通り、
住大夫師匠の門人です。
師匠の入門時のお名前が、古住大夫。
字こそ違え、同じ「こすみだゆう」
期待の大きさ、でしょうね。

小住君は、本名、的野景志郎。
昭和63年3月2日生まれの22歳。
福岡県の出身、九州男児です。
初めて文楽を見たのは、4年前、
博多座での「仮名手本忠臣蔵」。
始めは、人形に興味をそそられたようですが、
やがて大阪、東京にも足を運ぶにつれ、
文楽への思いは、
住師匠の語り一本。
御両親の反対も説き伏せて、
思いを貫きました。

ピカピカに磨くのも修行のうち
↑ピカピカに磨くのも修行のうち?

厳しいお稽古で知られた、
住師匠に入門する、
小住君の覚悟も立派ですが、
80歳を優に超えられて、入門を認められた、
師匠の凄さ。
今でも、切場一段を語り終えた、その直後に、
端場を語ったお弟子さんの、稽古をされる、
住師匠なればこそ。
この気力、私達にも、ありがたい事です。

ふっくらと、色白で、いかにも大夫さん
と言った風貌の小住君。
11月公演、お七火の見櫓のツレが、
初舞台となります。
皆様御声援の程、宜しくお願い致します。

この小住君、
実は大変な方向音痴。
北へ行く筈が、南に向かっていた、
などと言う事は、日常茶飯事とか。
これから、地方公演にも参ります。
皆とはぐれた、彼を見かけたら、
どうぞお声掛けて、下さいますように。

この顔をご記憶ください
↑この顔をしっかりとご記憶くださいますように。

次は、内子座公演。
暑さに負けぬよう、
このお休みで、
鋭気を高めたいと思います。
皆様も、どうぞお元気で。

豊松清十郎

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[2010/08/05 16:26] | なまけず一所懸命 | トラックバック(0) | page top
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